医療保険を選ぶ際に1度は検討しておきたい共済について、民間の保険と比較をしてみました。
共済は安くて保障が充実しているというイメージをお持ちの方は多いかもしれません。
共済と保険は何が異なり、どのようなメリット・デメリットがあるのか、詳しく解説します。
新たに医療保険の加入を考えている方や、医療保険を見直すことを検討している方は必見の内容です。
目次
共済と民間の医療保険の違い
一言で共済といっても、運営母体は複数あります。具体的には、全労済、都道府県民共済、JA共済、CO・OP(コープ)共済、こくみん共済などがあります。
共済と民間保険の大きな違いとして、事業を運営する根拠法令と監督官庁があります。全労済や都道府県民共済、CO・OP共済の根拠法令は消費者生活協同組合法であり、監督官庁は厚生労働省です。
また、JA共済の根拠法令は農業協同組合法で、監督官庁は農林水産省です。
一方、民間の保険の根拠法令は保険業法であり、監督官庁は金融庁なのです。この時点で異なる事業であることが分かります。
ちなみに、共済事業は非営利事業に該当し、基本的に利益を求めませんが、保険事業は営利を目的としているという違いもあります。
共済と保険は監督官庁や根拠法が異なるため、同じような意味を持つ用語も少しずつ言い方が異なります。
保険業界でいう医療保険は「医療共済」、保険金は「共済金」、保険金受取人は「共済金受取人」、保険契約者は「共済契約者」と呼ぶなど、「保険」の部分が「共済」に置き換わるイメージです。
また、同じ共済という名前でも、教員や警察官などの公務員の方が加入している共済組合の医療保険とは異なります。
国家公務員や地方公務員が強制加入となる共済保険は、会社員の健康保険に該当するものであり、今回解説する共済とは異なります。
4大共済の特徴
都道府県民共済
都道府県民共済は全国生活協同組合連合会(全国生協連)が運営母体となっており、居住地か勤務先のある都道府県の共済に加入する形になります。東京都であれば都民共済、大阪府であれば府民共済、愛知県であれば県民共済など、都道府県によって名前が異なります。
JA共済
JA共済は全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が頂点となり、各都道府県の支部および各地のJA(農協)によって構成されています。組合員が所属する各地のJAで加入することが基本ですが、組合員以外でも加入することは可能です。
全労済
全労済は正式名称を「全国労働者共済生活協同組合連合会」といい、各都道府県の共済生協の他、職域の共済生協、生協連合会などで構成されています。所属する労働組合経由の加入が基本ですが、各都道府県の共済生協の本支部でも加入できます。
CO・OP共済
CO・OP共済は日本コープ共済生活協同組合連合会(コープ共済連)が運営母体となっています。手続きについては、所属の各生協で取り扱っており、生協組合員への加入が必要となります。民間の医療保険と比較
それでは実際に医療共済と医療保険はどのような内容で、どのような違いがあるのか比較していきます。なお、前述のように共済にも複数の種類がありますし、保険会社にいたっては41社(金融庁HPより:平成29年9月時点)もありますので、全ての医療共済と医療保険を網羅して比較することはできないことはご了承ください。
そのため、全体的な特徴と傾向を比較していきます。
掛け金を比較
医療共済の最大のメリットは掛け金の安さです。共済は非営利事業であるため、毎年の決算で剰余金が発生した場合には、支払った掛け金に応じて割戻金があります。
割戻金は支払った掛け金の1割~3割程度になることが多く、実際に支払う掛け金が安く済むことになります。
ただし、ネット生保や一部の保険会社では保険料をかなり安く設定しているところもあり、掛け金だけを見ると共済とほぼ同額や、それよりも安く設定されている医療保険もあります。
また、保障内容、保険期間、保険金額によって掛け金が変わることは共済も保険も共通していますが、年齢や性別による掛け金については違いがあります。
民間の医療保険の場合は年齢と性別で掛け金が細かく設定されていますが、医療共済の場合は年齢群団方式といって、年齢の幅を大きくとって一律の掛け金にする方式を採用することも多くあります。
年齢群団方式で同じ掛け金の場合、若年層には割高になり高齢層には割安になります。
他にも、男性と女性の掛け金は保険会社によっても差が大きいのですが、20代後半から40代前半にかけては女性の方が掛け金が高くなる傾向があります。
これは、この年代の女性は男性よりもがんになる確率が高い上に、出産に伴う入院や手術の確率が高いためです。
保障内容と柔軟性を比較
共済は性別や年齢に関係なく固定された保障になっている場合が多く、民間の医療保険のように個々のライフプランに応じて保障内容をカスタマイズすることが難しい傾向があります。共済は比較的少額な保障が一般的なので、手厚い保障や長期での入院保障を望んでいる人には不足することもあります。
医療共済は基本的に定期保障タイプで、決められた年齢を過ぎると保障が減るか、無保障になるため、終身で入りたい人には向きません。
CO・OP共済やこくみん共済には終身保障の医療共済もありますが、各種特約が民間の医療保険に比べて少ないため、ライフスタイルに合わせてアレンジすることは難しいでしょう。
保障内容をシンプルなものにしたい場合は医療共済、自分なりにアレンジしたい場合は民間の医療保険を選べば良いでしょう。
加入のしやすさを比較
共済は、加入者の職業を問わないところにメリットがあります。民間の保険であれば危険が伴う職種に就いている方や所得が不安定な方、専業主婦には、入院日額を制限することがあるため、この点に関しては共済の方が加入しやすいといえます。
また、過去の病歴については、共済も保険も告知書による自己申告のみで済むことが多く、医師の診断は不要です。
ただし、民間の生命保険では入院日額が高額となる場合には医師の診断書が必要になる場合もありますが、共済の場合はそもそも高額な保障に加入することができないので、ここは民間の医療保険の方が評価できる部分といえます。
ここで、持病がある方にとっての視点ではどうでしょうか。
一般の告知項目よりも少ない告知で加入ができる「引受緩和型」の医療保障については、共済も保険もそれぞれラインナップされています。
高血圧や糖尿病などの持病がある方でも、一定の告知項目にさえ該当しなければ加入ができ、場合によっては過去にがんに罹患した経験があっても加入できますが、うつ病の場合はハードルが高くなっています。
また、引受緩和型の医療保険は、どれも通常の掛け金よりは割高になり、加入後1年以内に入院や手術をした場合は支払金額が半額になってしまいますが、一部の生保会社からは加入後1年以内であっても満額支払われる医療保険も発売されています。
加入後の対応を比較
共済や保険は、加入後の対応が非常に重要なポイントです。掛け金が銀行口座から落ちていない時の連絡や、入院時の請求に関する対応、保障内容の確認や変更など、迅速かつ丁寧に対応してもらいたいものです。
共済の代理所や保険の代理店が近くにある場合は対応が早くなる傾向はあります。
しかし、加入後の対応に関しては、共済と保険という大きな比較というよりも、各窓口の担当者の対応が大きなウェイトを占めるため、一概にどちらが良いとはいえません。
信頼できる担当者がいることが加入後の安心感につながります。
その他の共通点
ここまで共済と保険を比較しましたが、共通する部分も多くあります。たとえばどちらも年間に支払った医療保障の掛け金は、介護医療保険料控除が適用されるため、年末調整や確定申告を行うことにより税制上のメリットがあります。
また、保障面で気になるレーシックの手術に関しては両方とも給付の対象外となります。
将来設計も踏まえた上で選択を
医療保険、医療共済について様々な角度から比較をしましたが、医療共済にも複数の運営元がありますし、医療保険については大手からネット生保まで実に多くの保険会社と商品があります。医療保険は自動車保険と異なり、重複して加入することができます。そのため、選び方としてはどちらか一方だけを加入するということに縛られず、両方を組み合わせることも有効です。
終身型は民間の医療保険をベースに子供が独立するまでは医療共済を上乗せという形も考えられますし、逆に医療共済をベースに医療保険を上乗せすることも考えられます。
おすすめの保険はそれぞれの状況によっても異なり、感じ方も違ってくるため、口コミやランキングは参考程度に考え、自身の将来設計も踏まえた上で保険の専門家に一度相談をしてみましょう。
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