医療保険における「三大疾病特約」という言葉を聞いたことはありますか?
若い人にとってはまだ馴染みのない言葉かもしれませんが、先々の医療に対する保障設計を考えたときに今のうちからの加入を検討しても良いものです。
今回は三大疾病特約とは何か?どういった保障内容をしているのか?について解説します。
また、三大疾病特約におすすめしたい人とそうでない人についても言及しています。
三大疾病がどういった病気かわからない方や、検討している方にとっておすすめの内容となっているので是非参考にして下さい。
三大疾病とは?
三大疾病とは日本において国民病とも呼ばれている病気で、日本人の死亡原因ワースト3を占めており、主にがん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中のことを指しています。これらの病気は長年の生活習慣やストレスが原因で引き起こされるケースが多く、40代以降の働き盛りの世代で発症する場合が多いとされていました。しかし、近年では食事の欧米化や競争社会によるストレス過多など様々な原因により、比較的若年層でも三大疾病にかかる可能性が高くなっています。
2017年においては、医療技術の進歩によりがんの死亡率が下がったというデータがあります。これを聞くと少しばかり安心しますが、死亡率ですのでがんになるリスクは誰にでもあります。
次に、なぜ三大疾病特約が必要なのか解説していきます。
通常の入院特約だけでは不十分な理由
多くの日本人が罹患するリスクのある三大疾病ですが、これに対する備えとして、医療保険の入院日額何円といった保障だけで安心と言えるのでしょうか。結論から言うと、残念ながら三大疾病の備えとして、通常の医療保険では不十分と言わざるを得ません。
というのも不幸にもこれら三大疾病にかかってしまった場合、治療は長期かつ高額になるケースが多いからです。
例えばがんの場合、医学的には手術、放射線、抗がん剤の3つの治療法を組み合わせて治療を目指します。入院期間自体はがんによっては比較的短期間で退院できるものもありますが、退院後、比較的長期にわたって高額な抗がん剤の投与を受け続ける必要があります。
また、脳梗塞にかかってしまうと、仮に手術によって一命をとりとめたとしても、長期間の入院が必要になり、手足に麻痺や運動障害が残ってしまうこともあり、退院後も長期的にリハビリ通院を行ったり、自宅をバリアフリー化したりする必要が生じてしまいます。
また、これらの病気にかかってしまうと仕事も長期的に休む必要があり、無事仕事に復帰できたとしても、これまでのような働き方ができなくなってしまうため、収入が下がる事が予想されます。
まとめると三大疾病の治療では患者には以下のような経済的負担が発生します。
数か月以上にわたる高額な医療費負担
退院後の通院や高額な薬代
療養期間中の生活費
退院後の通院や高額な薬代
療養期間中の生活費
他にも先進医療を受けた場合の高額な出費や家族のお見舞い費用、より安心した環境で治療を受けるための差額ベッド代金など出費は多岐にわたります。
一般的な医療保険では、入院と手術の保障しかされておらず、いくら高額療養費制度で医療費が安くなったと言っても、その他の出費までカバーすることはできません。 こういった時にあると助かるのが三大疾病特約です。次に、医療保険の入院給付日数でどれだけ保障されるのか見ていきます。
長期入院では入院給付金が満足にもらえないことも
また、近年の医療保険では入院保障に支払限度日数が設けられていることも医療保険だけで三大疾病に対応できない要因です。支払限度日数とは、一度の入院に対して最大◯日間分は保障しますよといった仕組みです。支払限度日数は保険会社によって異なりますが、例えば、支払限度日数が60日と設定されている場合、それ以上入院したとしても支払われる入院給付金はありません。ですので、それ以降の入院費用は自己負担になります
厚生労働省の「平成29年 患者調査」によると、全ての疾患の平均入院日数は29.3日と短期間ですが、脳血管疾患は81.5日と非常に長期間であることがわかっています。
このデータから、仮に脳梗塞などの脳血管疾患で入院した場合、通常の医療保険だけでは入院期間を完全にカバーすることができない可能性があることがわかります。
このように、通常の病気と異なり、入院期間も比較的長期化しやすく、なおかつ退院後も通院や生活費などで出費が増えてしまうため、医療保険だけでは補えない分をカバーするために三大疾病特約は必要なのです。
三大疾病特約の保障内容とは?
それでは具体的に三大疾病特約にはどのようなものがあるのでしょうか?この特約の代表的な保障内容は以下の通り。
- ・今後の保険料払込は不要
- ・診断時に一時金がもらえる
- ・入院給付金の支払限度日数無制限
- ・入退院前後の通院に対して給付金がある
どの保険会社も共通して上記のような保障内容があることが多いです。では、それぞれ詳しく說明していきます。
一番メジャーなものとして、ガンや急性心筋梗塞、脳卒中で入院した場合、以後の保険料は払い込み不要となるというものです。
先ほども説明したように三大疾病にかかってしまうと医療費以外にもさまざまな出費があります。闘病生活において少しでも経済的負担を緩和するためにこのような仕組みになっています。
次に三大疾病と診断された場合、高額の一時金が受け取れるという保障です。
今後の生活費や治療費にたくさんのお金が必要になるため、一度にまとまったお金を受け取れるのはありがたいですよね。
三つ目は、三大疾病での入院の場合は入院給付金の支払限度日数が無制限になるというものです。
先ほども説明したように三大疾病、中でも脳血管疾患と呼ばれるものは入院期間が比較的長期化しやすく、通常の医療保険では入院期間をカバーしきれません。支払限度日数が無制限ならばどんなに入院が長期化しても医療費負担の面では安心です。
最後に、入院前後の通院にも通院給付金をお支払いするというものです。
がんの場合、入院期間は比較的短くなりつつありますが、その後通院しながら抗がん剤や放射線治療を長期間受け続ける必要があります。抗がん剤などは比較的高額で、長期間服用し続ける必要があるため、退院した後も経済的負担が多くなります。
このように三大疾病特約の保障内容は三大疾病特有の経済的リスクに対応できるものが多いです。
三大疾病特約の注意点
ここまでの説明を読んでいるとガンや脳卒中、心筋梗塞などにかかっても絶対安心できそうな三大疾病特約ですが、1点気をつけれなければいけない点があります。それは保険金請求時に三大疾病と認められる要件が厳しく、これらの病気で入院しても満足の行く保障が受けられない場合があるということです。
保険会社によっては定款(ていかん)と呼ばれる契約書で、三大疾病の定義や支払い条件についてこと細かく定めているものがあります。
例えばがんの場合、三大疾病特約の対象となるのは、悪性新生物と確定診断されたものに限るという文言が使われるケースが有ります。これは裏を返せば、確定診断がなされていない、もしくはがんだけど悪性新生物と呼ばれるほど重度なものではないがんについては対象にならないということを示しているのです。
MRIやエコーなどの検査で見つかった腫瘍ががんかどうか判明するためには、結局のところ手術を行い、摘出した組織を検査しなければなりません。つまり、検査でがんと診断されても治療法に手術を選択せず抗がん剤や放射線だけで治療を行った場合は三大疾病の対象にならないのです。
また、悪性のほくろなどは悪性新生物ではなく上皮内新生物という扱いになるので、手術で切除したとしても対象外となってしまいます。
急性心筋梗塞の場合、診断されてから60日間労働制限の状態が続いたと医師に診断されて初めて三大疾病特約の対象となると定款に記載されている医療保険もあります。
つまり、軽度の心筋梗塞で20日ほど入院し、退院してから10日で職場復帰した場合、三大疾病特約は支払われないのです。
このように、三大疾病特約は支払われないケースもあり、免責事由も医療保険会社によって異なる場合がありますので、加入時に必ず確認しておくようにしましょう。
おすすめしたい人とまとめ
最後に三大疾病特約をおすすめしたい人をご紹介します。
生活習慣が乱れがちな働き盛りの方
十分な貯蓄がない方
日本人の死因が多いことから将来が心配だという方
十分な貯蓄がない方
日本人の死因が多いことから将来が心配だという方
三大疾病特約は通常の医療保険では補いえない部分をカバーしてくれる頼りになるものですが、一方で支払われない場合もあります。
そうはいっても、万が一これらの病気にかかって長期間の療養が必要になった場合には、あって良かったと思える特約ですので是非検討してみて下さい。