「万が一の入院に備える」、「入院中の生活費もカバー」、「もしものときのお守り」など、様々なうたい文句で医療保険が宣伝・販売されています。
そのようなCMを見て、もしかして入っておいた方がいいかも、と漠然と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
もしくは、今すでに入っている医療保険がそのままでいいのか、もしかしたら不要なんじゃないかと思っている人もいるでしょう。
多くの生命保険会社から医療保険は発売されており、様々な種類があることで余計に皆様の頭を悩ませているのではないでしょうか。
このコンテンツでは、医療保険が不要なのはどんな場合なのかについて解説していきます。
医療保険がいらないのはズバリこんな人!
医療保険がいらない人は、ズバリお金に余裕がある人です。 そもそも生命保険とは、相互扶助で成り立っており、加入者の保険料の中から保険金・給付金が支払われています。保険会社が保険金・給付金を支払うためには多くの経費がかかっているため、加入者個々でみると損したり得したりすることはあるものの、加入者全体で言えば必ず損をするようにできています。
そのため、万が一入院や手術をするようなことがあっても、その治療費を支払うのに十分な貯蓄があるような人にとっては医療保険は不要といえます。
では、十分な貯蓄というのはいくらぐらいあればいいのかというと、それは人によって異なります。
そこで、次に医療保険が不要かどうかを検討する際に抑えておくべきポイントを紹介していきます。
医療保険がいらないかどうかを検討する際のポイント
高額療養費制度
高額療養費制度とは、公的医療保険制度における給付の1つであり、簡単に言えば、1ヶ月間の医療費の負担額を一定額に抑える制度です。その人の収入によって1ヶ月間の医療費の自己負担額の上限が定められており、それを超えた部分については後から還付されます。
例えば、年収が400万円の人が入院をし、医療費が30万円(3割負担)かかってしまった場合の自己負担額は以下の通りとなります。
なお、直近1年間に3回以上高額療養費制度を活用した場合、4回目以降はさらに上限額が引き下げられ、上記のケースの場合では44,400円となります。
このように、高額療養費制度を活用することで、1ヶ月間の医療費負担をかなり減らすことができます。
仮に入院期間が長引き、丸々1年間入院をしたとしても、
が自己負担額となります。
こうしてみると大して医療費がかからないように思われますが、注意点があります。
高額療養費制度はあくまで健康保険の制度であり、健康保険の適用とならないような医療費には活用することができません。
例えば、入院をした際に個室を希望した場合、差額ベッド代という費用がかかります。
これは、健康保険の適用外の費用となるため、高額療養費制度を活用することができません。
この差額ベッド代は病院によっても異なりますが、一般的には1日につき5千円から1万円程度かかります。
もし、10日間個室に入院した場合は、医療費の自己負担額に加えて、約5~10万円程度が必要となります。
もちろん、個室ではなく大部屋(6人部屋)に入院すれば問題はありませんが、例えばがんの治療で抗がん剤などを使用し、副作用で頭髪が抜け落ちるような場合などには、個室を選ばざるを得ないようなこともあるかもしれません。
この金額についても加味しておく必要があります。
傷病手当金
サラリーマンのように協会けんぽなどの被用者保険に加入している人であれば、傷病手当金といった制度を活用することができます。これは、ケガや病気で仕事を休んだ場合、一定の要件を満たせば給与の約2/3を最長で1年6ヶ月にわたって受け取ることのできる制度です。
さすがに全額とまではいきませんが、万が一の病気で長期間にわたって会社を休まなければならないようなことになってもある程度は安心できます。
ただし、自営業者などのような国民健康保険に加入している人はこの制度を活用することはできません。
自営業者などの場合は、仕事を休んだ場合に収入が途絶えることも考慮しておく必要があります。
家事、育児
病気になった場合に困るのは、一家の大黒柱が仕事を休んだことによる収入減だけではありません。主婦の方が入院した場合、それまで家事を奥さんに頼り切っていた男性が、今まで通りに家事をこなせるわけがありません。
食事は外食、炊事・洗濯・掃除などは場合によっては家事代行サービスを使わなくてはならないような場合も出てくるでしょう。
子どもが小さい場合には、ベビーシッターを依頼せざるを得なくなるようなケースもあります。
このように、働いていない場合であっても、入院など家を不在にすることによって余分に発生する費用もバカにはできません。
このように、医療保険が不要かどうかを検討する際には、まずは高額療養費制度による上限額をベースに、差額ベッド代や傷病手当金等を考慮して、十分な貯蓄があるかどうかを考えます。
一般的には100~200万円程度あればよいとも言われますが、自営業者の方や、差額ベッド代を考慮しておきたいという方にとっては、もう少し高い貯蓄額が目安となるでしょう。
なお、この貯蓄額は将来使う予定のない貯蓄である必要があります。
例えば、貯金が200万円あるからといって、それは将来の子どもの学費のために貯めているものであったとしたら、余裕があるとはいえません。
あくまで別枠で確保できていて初めて医療保険は不要だ、と言えます。
人気の先進医療特約はいる?いらない?
最近の医療保険には、多くの場合先進医療特約を付加することができます。これは、厚生労働省が定める先進医療と呼ばれる治療を受けた場合に給付金が受け取れる特約です。
例えば、ガンの際に使われる陽子線治療や重粒子線治療といったものがよく聞かれます。
先進医療は、その名の通り高度な技術を用いた治療法で高い治療効果が望める反面、健康保険適用外のため、その医療費は全額自己負担しなければなりません。
もちろん、上記で述べた高額療養費制度を活用することもできません。 陽子線治療や重粒子線治療などの場合、その治療費は約300万円程度かかります。
これに備えるために医療保険に加入したい、もしくは今加入している医療保険を見直したい、という人も多いのではないでしょうか。 この先進医療特約は、多くの場合100円程度の保険料で付加することができます。
ただ、この安い保険料が示す通り、実際に先進医療を受ける機会というのは非常に少ないです。 上記の重粒子線治療の場合、平成25年度で年間1,200件程度しかありません。
そのため、すでに医療保険に加入している場合には追加で付加しておいてもよいと思いますが、この特約のためだけにこれから新たに医療保険に加入するというのは、その医療保険自体が本当に必要かどうかをしっかり検討してからの方がいいでしょう。
無駄を省いて必要な保障のみを選ぼう
医療保険は、すでに述べたとおり基本的には損をする保険です。 十分な貯蓄がある方はもちろんのこと、医療保険で得したいというような方にも向いていません。とはいえ、人間は感情で動く生き物であり、完全に損得だけで物事を判断するということはないと思います。 確率は低いとしても、重大な病気で長期にわたって働けず、さらには仕事を辞めざるを得なくなるようなことになったとしたら、そのときに医療保険があればとても助かるでしょう。
損を承知で、万が一のときでも家族に迷惑をかけないように、医療保険に加入する人もいるでしょう。 加入することで安心が得られ、それで本人が納得しているのであれば、それはそれでいいと思います。
ただ、その場合であっても、この記事で述べたようなポイントを抑えた上で、無駄は極力省いた上で、必要な保障のみを選ぶようにしてもらいたいと思います。 繰り返しになりますが、医療保険は掛け捨てであり、基本的には損をしてしまいます。
保険というのは契約が長期間にわたりますので、月々の金額はそれほど高くなくても、積み重ねれば大きな金額となります。
現在の状況などをしっかりと考え、あなたに最適な保険選びをしましょう!また、当サイトではコンシェルジュに無料で相談できるので、もし自分に必要かどうかわからなかったりした際はお気軽にご相談下さい。
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