医療保険に加入して、今日から何があっても大丈夫と安心するのは早いかもしれません。
保険を切り替えたり、他社乗り換えたりする場合、免責期間によって医療保険が適用されない空白の期間ができてしまう可能性があります。いつ病気になるかは誰にもわかりません。医療保険の仕組みをしっかり理解することでもしものときに備えることができます。
ここでは、数ある保険の中でも医療保険特化した当サイトが「免責期間と注意点」についてお伝えします。
免責期間とは
免責は「責任を免れる」という言葉通り、保険会社が責任を持たず保険金を支払わないことを指します。医療保険での免責期間は、給付金の支払い事由が発生しても、保険会社が保険金を支払わないなど、責任を負わない期間を指します。
保険約款で、特定の事項に対して保険金を支払う義務を負わないことが規定されています。
免責期間を設定する理由
契約する側にとっては不利な事柄なため、理由が気になる方も多いと思います。免責期間を設定する理由には以下の2点が挙げられます。
保険金目的の不正の防止
保険会社の運営と維持
保険会社の運営と維持
医療保険加入前からある病気を申告せずに、保険金を受け取るなどの不正を防止するという観点から免責期間が設定されています。
また、保険は「相互扶助」が基礎となっており、契約者が払った保険料でお互いを支えあう構造になっています。
「○○生命保険相互会社」と社名にもあるように、生命保険の基本は相互扶助=助け合いです。
相互扶助の仕組みを維持するため、契約者同士で公平、平等な運営を行うために、免責期間が設定されています。
医療保険の免責期間や理由については、保険会社の担当者に確認することをおすすめします。
免責期間の種類
医療保険の免責期間は2種類あります。・0日以上の入院で1日目から支給
・0日以上の入院で5日目から支給
現在販売されている医療保険では、1泊2日以上の入院で1日目から支給という形が多いですが、稀に4泊5日以上の入院で1日目から支給や4泊5日以上の入院で5日目から支給という形もあります。
もちろん、1日目から支給の医療保険が最も給付金を受け取ることのできる確率が高いです。
しかし、受け取る確率が高いと保険料も高くなります。
4泊5日以上で5日目から支給の場合は、受け取る確率が下がる分、保険料が安くなっています。
例:日額10,000円の医療保険に加入している方が10日間入院した場合
1泊2日以上の入院で1日目から支給の医療保険
→10,000円×10日=10万円
4泊5日以上の入院で1日目から支給の医療保険
→10,000円×10日=10万円
4泊5日以上の入院で5日目から支給の医療保険
→10,000円×6日=6万円
→10,000円×10日=10万円
4泊5日以上の入院で1日目から支給の医療保険
→10,000円×10日=10万円
4泊5日以上の入院で5日目から支給の医療保険
→10,000円×6日=6万円
この例の場合、上の2つの医療保険がいいように見えますが、2つ目の形だと3泊4日の入院では給付金が0円になります。
特に近年は短期入院が増えているため、1泊2日以上の入院だったり、日帰り入院も保障の医療保険が最も安心できると言えます。
免責期間で保険料も異なるので、加入の際には確認しましょう。
医療保険の保障はいつから始まるのか
自動車保険や火災保険は、申し込む際にいつから保障を開始するか決めることができますが、医療保険は違うので注意は必要です。もし、医療保険に契約して翌日事故に遭って入院することになっても、給付金を受け取ることができません。
医療保険は、保障が始まるために3つの条件があります。
・申込書の記入
・1回目の保険料の払込
・健康状態の告知(告知書の記入、人間ドッグの結果の提出など)
この3つが揃った上で、保険会社が1回目の保険料を受け取ったときと健康状態の告知の遅い時点から保障が開始になります。
例えば・・・
11月11日に申込書に記入、押印
11月13日に健康診断のコピーを提出
11月20日に契約が成立した場合
12月1日付の医療保険の契約
となるため、保険料は12月の指定日に引き落としとなります。
生命保険会社が保険料の徴収を確認するのは12月末から1月頭となるため、それまでの間は医療保険から保障を受けることはできません。
しかし、この制度がわかりづらい声も多く、生命保険会社によって、より早い保障開始を図るための取り決めを行っている場合があります。
契約する際に担当者にいつから保障が開始するか、しっかり確認することが重要です。
無保険状態を避けるために
今加入している保険を他社に変える場合、解約するタイミングによって無保険期間が生じる恐れがあるため、注意が必要です。上記で書いた保障開始よりも前に、今加入している医療保険を解約すると一時的に空白の期間ができてしまいます。
契約を申し込んでも、健康状態などで契約が成立せず、他社への乗り換えができないと知っても、現在の医療保険を解約した後だと保障を戻すことができません。
他社へ見直すときは、契約が成立したという連絡を受け、保障が開始した後で解約することが大切です。
また、見直すときには保険会社の担当に、どのタイミングで解約するかを尋ねて教えてもらうこともできます。
解約のタイミングがわからない場合、一度担当に相談することをおすすめします。
がん保険の免責期間
ここまで、医療保険の免責期間についてお伝えしましたが、実はがん保険の免責期間が長いことをご存知でしょうか。がん保険では、上記の3点(申込書の記入・1回目の保険料の払込・健康状態の告知)が揃った日を含めて90日経過後から保障が開始します。
がんは他の病気と異なり、自覚症状がないことが多く、健康状態の告知時点でがんだと気づかず加入することがあり得ます。
その場合、加入から間を置かないで給付金を受け取ることになり、生命保険の基礎の「相互扶助」のシステムを壊しかねません。
保険金目的での不正を防ぐためにも、免責期間は重要な役目を果たしています。
免責期間のある医療保険とは?
近年、持病のある方や服薬している方でも加入しやすい、引受基準緩和型の医療保険が販売されています。引受基準緩和型とは、通常の医療保険よりも健康状態の告知項目が少なく、今まで加入が難しかった方も入院や手術の保障を持てる医療保険を指します。
服薬中の病気や持病も保障する反面で、一定期間は保険料が減額する免責基準を設けている会社が多いです。
(免責のない会社もありますが、その分保険料が高くなります。)
例えば:入院日額10,000円の引受基準緩和型医療保険に加入した場合
契約から1年間は入院日額が5,000円に減額され(1年間の給付金免責) 1年経過後は入院日額10,000円の保障になります。
免責の期間や金額については、各生命保険によって異なります。 加入を検討する際は、生命保険会社に確認し納得した上で契約しましょう。
さいごに
ここまで、医療保険の免責期間についてお伝えしました。医療保険やがん保険の申込書を書いたら、その日から入院や手術の保障が始まるのではないため、保険料の払込まで注意しなければなりません。
保険会社によっては、契約成立時点から保障開始などの独自システムを導入している場合もあるので、契約する際には納得できるまで確認することが重要です。
また、現在加入している保険を他社に変える際は、他社での契約がいつから保障されるのか確認した上で、空白期間ができないように注意する事をおすすめします。
生命保険会社によって異なる点もあり、「今加入している生命保険会社がこうだった」と勝手に判断することは禁物です。
担当者と話して、いつから保障されるかをしっかり確認しましょう。この記事が医療保険に加入する際や切り替えをする際の一助になれば幸いです。