A社の医療保険とB社の医療保険、両方の医療保険に加入したとき、給付はどうなるのでしょうか。あるいは今加入している医療保険に加えて、新しく別の医療保険に加入した場合は給付はどうなのか。
ここでは複数の医療保険に重複して加入すると給付はどうなるのか、重複して医療保険に加入するメリット・デメリットについて解説していきます。
例えば、積立型保険に加入しており、解約はしたくないが新たな保険で保障を手厚くしたい方や、医療保険に加入をしているがガン保険も検討している方にとっておすすめの内容になっています。
それでは早速見ていきましょう。
目次
複数の医療保険に加入した際の給付
結論からいうと、複数の医療保険に加入していればそれぞれの医療保険から契約した内容通りの給付が受けられます。この仕組みを「定額給付」と言い、医療保険のほか生命保険会社が取り扱う生命保険の保険金の支払についてもこの方法をとっています。
定額給付である医療保険では、どれか1つの医療保険からしか給付が受けられない、あるいは実際にかかった医療費分しか給付されないということはなく、重複して医療保険に加入していても無駄にはなりません。
かかった医療費よりも受け取れる給付金が多いということは実際によくあることです。
ちなみに自動車保険や火災保険などの損害保険金の支払いには「実損填補」という方法をとっており、実際に生じた損害額に応じて保険金が支払われる仕組みとなっています。
重複して火災保険に加入していても、実際の損害額以上に保険金が支払われることはないため、損害保険では補償対象の評価額以上に保険をかけてしまうと無駄になります。
複数の医療保険でも給付される「定額給付」
損害保険の場合、「実損補填」のため損害額のみ補填される
損害保険は評価額以上の保険をかけない
損害保険の場合、「実損補填」のため損害額のみ補填される
損害保険は評価額以上の保険をかけない
2つのメリット
医療保険からは重複して給付を受けることができるため、複数の医療保険に加入することで以下のようなメリットがあります。特徴の違う医療保険のいいとこどりができる
医療保険はほとんどの保険会社で取り扱っている商品です。ただ同じ医療保険であっても、A社の医療保険はは短期入院に手厚いシンプルな保障内容で保険料が割安、B社の医療保険は長期入院に手厚く、がんに備える特約も充実しているものの保険料はやや割高など、それぞれ保険会社や商品ごとに保障内容や保険料などには違いがあります。
現在は短期の入院が増えていますが、長期入院となる可能性がなくなったわけではなく、経済的なリスクの面では長期入院のほうが大きいといえます。
短期入院に強いA社の医療保険と、長期入院に強いB社の医療保険、どちらか一方だけに絞れないというときには、A社の医療保険とB社の医療保険の両方をいいとこどりして加入するという選択もあります。
今回は医療保険A~Fの6つの特徴ある商品を組み合わせて、複数加入することのメリットをお伝えしたいと思います。
入院給付金日額 | +α(特徴) | |
---|---|---|
保険A | 5,000円 | 60日型 (入院開始時に一律10日分の給付金) |
保険B | 730日型 | |
保険C | 61日以上の入院から最長1,095日分保障 | |
保険D | がん保障が充実 | |
保険E | 女性疾病保障が充実 | |
保険F | 通院保障が充実 |
入院日数に特徴のある商品組み合わせ
組み合わせ例①:医療保険A+医療保険B入院開始時に5万円(10日分)の給付、入院60日目まではAとBから1日あたり各5,000円ずつの合計10,000円、入院61日目以降730日まではBから1日あたり5,000円の給付金が受け取れます。
給付金を受け取れる確率が高く、治療などで医療費のかさみがちな短期入院をより手厚く保障しながら、入院が長期化した場合の保障を確保できる組みあわせです。
組み合わせ例②:医療保険A+医療保険C
入院開始時に5万円(10日分)の給付、入院60日目まではAから1日あたり5,000円、入院61日目以降はBから1日あたり5,000円の給付金が最長1,095日分受け取れます。
短期入院はA、長期入院はBでそれぞれ保障され、保障が途切れない組みあわせです。
そのほかにも、医療保険Bと医療保険Cを組み合わせて長期入院の保障を手厚くしたり、それぞれの入院給付金の割合を変えてA7,000円・B3,000円とするなど希望する保障内容に応じて多くの組みあわせが可能です。
特約に特徴がある商品組み合わせ
組み合わせ例③:医療保険D+医療保険Eがん保障が充実している医療保険Dと女性疾病保障が充実しているE、どちらも捨てがたいという場合には、加入しようとする保障額(この例では入院日額10,000円)をそれぞれ分割して両方に加入するという選択もあります。
組み合わせ例④:医療保険D+医療保険F
医療保険Dの保障内容は気に入っているものの希望する通院保障がつけらないという場合には、通院保障の充実した医療保険Fを組み合わせることで解決します。
これらはあくまで一例であり、保障内容や保障額、保険料など複数の要素を組み合わせは無数にあります。また、2つに限らず3つ以上の複数の医療保険に重複して加入することも可能です。
ただし、すべての保険会社を通算して加入できる保障額には上限があり、他の医療保険の加入状況によっては新たに医療保険に加入できないこともあります。
保険会社の支払いリスクに備える
加入している保険会社が万一破綻したとしても、別の保険会社や生命保険保護機構によって保険契約が引き継がれる仕組みがあるため、保障がなくなることはあまり心配しなくても良いといえます。貯蓄性の高い保険の場合には、保険金や給付金が削減されるケースもありますが、医療保険は貯蓄性が低いものが多く、その心配もあまりありません。
ただそういったリスクが全くないわけではないので、どうしても心配な方は複数の保険会社に分散して医療保険に加入するのも方法のひとつです。
また、医療保険の給付金支払い手続きに時間がかかってしまうこともあるため、複数の医療保険に加入していれば、手続きの早く済んだ保険会社の医療保険から給付金を受け取ることができるというメリットがあるといえます。
3つのデメリットと複数の医療保険に加入する際の注意点
複数の医療保険に加入する場合には、以下のようなデメリットや気をつけるべき注意点もあるため確認しておきましょう。それぞれの保険会社に給付金の請求が必要
複数の医療保険に加入していて、入院や手術を受けて給付金を請求する場合には、それぞれの保険会社に対して請求を行う必要があります。複数の保険会社の医療保険を取り扱う来店型保険ショップなどの乗合代理店で加入すると、複数の医療保険の請求をまとめて準備してもらえるというメリットもあります。
医療保険に加入していることを忘れていて、請求漏れにも注意しましょう。
診断書が複数必要になることもある
請求する給付金の内容によっては、病院で診断書をもらって保険会社に提出する必要があります。複数の保険会社に請求する場合には診断書も複数枚必要で、診断書1枚で5,000円程度かかることが多いため、大きな負担だといえます。保険会社指定の形式で書かれた診断書の原本しか受け付けていない保険会社もあれば、病院発行の診断書や他の保険会社に提出する診断書のコピーで代用できる保険会社もあります。
診断書を発行してもらう前に、それぞれの保険会社の対応について確認した上で負担の少ない方法を選ぶようにしましょう。
必要以上に保障が重複すると保険料が割高になる
本来必要な保障をそれぞれの医療保険によって分担してカバーするのであればそれほど問題ありませんが、あの保障もこの保障も取り入れたいと必要以上に医療保険に加入すると保険料がその分割高になってしまいます。保険会社をまたいで複数の医療保険を組み合わせることは、通常想定されていない方法なので、保障の重複は少なからず生じることを認識した上で検討するようにしましょう。
最後に
複数の医療保険に加入して保障が重複していても、それぞれの医療保険から契約した通りの内容で給付を受けることができます。また、複数の医療保険を組み合わせて加入することでそれぞれの医療保険のいいとこ取りができるというメリットがあります。ただし、複数の医療保険する場合、請求手続きが増える、保障や保険料の重複などのデメリットもあることを理解した上で検討することが大切です。
医療保険は人それぞれ求める保障内容や料金によって最適な商品は異なるので、複数加入する場合はメリット・デメリットを十分考えた上で契約するようにしましょう。当サイトでは世代、性別、シュチュエーション別におすすめ商品をランキングにしているので、新たに医療保険の加入・見直しを検討するきっかけになれば幸いです。
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